「アメリカン・スナイパー」クリス・カイルはなぜ野球帽をかぶるのか?
「実際の戦闘で野球帽やベレーをかぶっていることってある?それはなぜ?」
こんな質問が寄せられることは珍しくない。答えはイエスだ。びっくりする人もいるかも知れないが、戦闘中にヘルメットを被らないことはある。
普通は銃弾や破片などから頭部を保護するためにヘルメットを被るが、野球帽にはそうした効果はもちろんない。これは多分に兵士が自らの戦闘経験から判断して行っているもので、はっきりと説明することは難しい。
その理由は兵士によって様々だが、例えば伝説のスナイパー、クリス・カイル氏の答えはシンプルだ。
カイル氏は自伝で、
「なんで野球帽かって?カッコいいからさ。野球帽をかぶればカッコよく見えるだろ?」
と書いている。
カイル氏はネイビー・シールズ隊員として255人を殺害した歴代最高のスナイパーであり、有能なリーダーとして、また家族や友人想いな人柄でも知られている。
野球帽でカッコつけるような男でないことは明らかで、おそらくはある種の皮肉も込められた答えなのかもしれない。
「ヘルメットを被ると動きにくいし、視界も制限されてしまう」という隊員もいる。もちろん、ヘルメットを着用しないことのリスクも承知の上での判断だ。
兵士たちがヘルメットではなく野球帽やベレーを被る理由の一つは、おそらく現地の住民に対してあまり威圧感を与えないためだ。低烈度紛争を戦うにおいては、より親近感を抱かせる印象を与えることによって民心を獲得することができるからだ。これは従来から「ハーツ・アンド・マインド」として重要とされているのだ。
もちろん戦闘において頭部を保護するにはヘルメットが一番であることは言うまでもないが。