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米陸軍の次期小銃・SAWのプロトタイプが公開

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米陸軍が開発中の次期分隊火器のプロトタイプが公開された。分隊火器は6.8mm弾を使用する小銃と分隊支援火器から構成される。プロトタイプは合衆国陸軍協会の2019年度年次総会において、開発に参加している3社が展示を行った。

2ヶ月前、陸軍は次期分隊火器の最終候補としてジェネラル・ダイナミクス・オーディナンス・アンド・タクティカル・システムズ社、テクストロン・システムズ社及びシグ・サウザー社の3社のプロトタイプを選定した。陸軍にとって5.56mm弾を使用するM4A1カービンとM249分隊支援火器の更新は最優先課題の一つだ。

陸軍当局は詳細を明らかにしてはいないが、敵のボディ・アーマーをM855A1 5.56mm弾よりも遠距離から貫通することができる6.8mm弾を採用することを決めている。

これまでプロトタイプが一部公開されることはあったが、3社のプロトタイプが全て公開されるのは今回が初めてだ。各社それぞれに特徴のあるデザインとなっている。

陸軍は2022年度の初めに3社のプロトタイプの内から1社を選定し、2023年度から部隊での運用を開始する計画だ。

ジェネラル・ダイナミクス社のブルバップ式

ジェネラル・ダイナミクス社のプロトタイプは、小銃・分隊支援火器ともにブルバップ・タイプとなっている。
ブルバップ・タイプの銃は世界的には多く存在するが、米軍はこれまでブルバップ・タイプの銃を採用したことがない。また米国内の市場でもあまり人気がないようだ。
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同社シニア・ディレクターのケビン・シム氏は「ブルバップを採用した理由は、銃口初速の向上を図ったためです。」と説明する。

同社の小銃には20インチ、分隊支援火器には22インチの銃身が装備されているが、非常にコンパクトだ。全長はM4A1やM249よりも短くなっている。

「ブルバップのデザインが受け入れられるかどうかは気になりますが、たくさんのフィードバックを検証してバランスの良い使いやすい銃に仕上がっています。」

詳しいスペックはまだ非公表となっているが、重量は陸軍の要求を満たすため、小銃が10ポンド以下、分隊支援火器が11ポンド以下になっているという。

ジェネラル・ダイナミクス社は次期分隊火器の開発に当たって、トゥルー・ベロシティ社と共同でコンポジット(複合素材)薬莢の6.8mm弾を製作、また銃本体の開発にもベレッタUSA社と提携している。ベレッタ社は前の米陸軍制式拳銃M9を納入していたメーカーだ。

セレクターはアンビ。小銃も分隊支援火器も弾倉給弾式となっている。シム氏によると、これは発射速度に関して軍がまだ仕様を決めていないためだという。

「今のところ発射速度を毎分500発から700発として開発していますが、最終的に弾倉給弾にするかベルト給弾とするかが決まります。」

○テクストロン社 テレスコープ弾使用の小銃・分隊支援火器
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テクストロン社のベルト給弾式分隊支援火器と弾倉給弾式の小銃は、同社が開発したテレスコープ弾を使用するモデルだ。

テクストロン社では、すでに5.56mm,7.62mm,6.5mm,6.8mmのテレスコープ弾を開発済みである。テレスコープ弾の薬莢はプラスティック製で、従来の真鍮製に比べて格段に軽量化されている。

テクストロン社は海兵隊にM27小銃を納入しているヘッケラー&コッホ社と提携して銃の開発に当たり、また小口径弾薬の生産をウィンチェスター社に委託している。
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こちらのプロトタイプも現在のところ詳細は明らかにされていないが、銃に装着するアクセサリーの能力を有効に活用するために、銃本体にバッテリー・パックを組み込んでいるという。

○シグ・ザウアー社はクラシックなM4風デザイン

シグ社のプロトタイプは、現用のM4に似たデザインで、3社の中で最もトラディショナルだ。
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プロダクト・マネージャーのポール・シュナイダー氏によると、
「兵士の使い勝手を考えたデザインです。イノベーションは銃の中に収めて有ります。兵士たちは使い慣れたM4と変わらない使用感でありながら、進化した高性能な銃を使っていると言うわけです。」

「スピアー(槍)」と名付けられたこのプロトタイプ小銃のユニークな特徴は、チャージング・ハンドルがイジェクション・ポートと反対側に取り付けられていることだ。これにより射手はピストル・グリップから手を離すこと無くチャージング・ハンドルを操作することができる。

しかしAR系オリジナルのチャージング・ハンドルは、廃止せずに残されている。この辺りは今後もまだ仕様の変更がありそうだ。
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またシグ社の分隊支援火器は16インチバレルを装備し、発射速度は毎分600発。

特徴的なのはフィード・トレイで、伝統的な前上方に持ち上げるのではなく、排莢側へ横に開く方式になっている。こうするとトレイを小さくすることができ、アクセサリーを取り付けやすくなるという。

シュナイダー氏によると、シグ社の分隊支援火器最大の特徴は、トレイを開けずに弾を装填できることだという。

「トレイを開ける必要はありません。最終弾を撃ったら、弾倉を外して新しい弾倉を取り付け、ベルトの先を差し込むだけで装填完了です。」

同氏はまた、銃の開発を全て自社で行っているのはシグ社だけだと指摘している。

「我が社のプロトタイプは100%シグ社製です。」
「他社と提携していないのは我がシグ社だけ。展示しているのはシグの銃、シグのサプレッサー、シグの弾薬、シグのアクセサリーなのです。」