トランプ大統領、戦争犯罪者の恩赦を決定
戦争犯罪事件で注目を集めた3人の米軍人に対してトランプ大統領が下した決定が軍事裁判自体を大きく揺るがしている。軍事裁判の専門家からは、軍事法廷で戦争犯罪を追求することが困難になるとの危惧の声が上がっている。
金曜日、トランプ大統領は大統領恩赦を発令し、戦場での殺人罪で起訴されていたクリント・ロランス元陸軍中尉及びマット・ゴルスタイン元陸軍少佐の釈放が決まった。同じく死亡した敵兵を冒涜した罪で有罪となっていた元シールズ隊長エドワード・ギャラガー被告が海軍上等兵曹の階級へ復帰することも決まった。ロランス元中尉はすでに既に有罪となり懲役19年の判決を受けて服役中、ゴルスタイン元少佐は来年2月から裁判が開始される予定であった。
軍事裁判の関係者の間では、トランプ大統領が戦争犯罪者の恩赦を検討していると明らかにした時から警戒感を示していた。
ベトナム戦争当時に海兵隊将校として6年間従軍した経験を持つ軍の弁護士ゲリー・ソリス氏は、
「このことが現実になることを恐れていました。あの3人を恩赦することに賛成する軍人などいないからです。」と話す。
著名な軍の弁護士ユージン・フィデル氏もトランプ大統領が服役中のロランス元中尉を釈放する大統領恩赦を決定したことに疑問を呈している。ロランス元中尉は2012年アフガニスタンで、通行人に発砲するよう部下に命令したとして有罪となっている。
「もっと重要なのはトランプ大統領が戦争犯罪を訴追しようという動きに大打撃を与えたということです。」
「司令官というのは、大統領もその一人ですが、戦争犯罪を捜査する権限を持つと同時に戦争犯罪を起こす原因にもなるものです。だから戦争犯罪を追及するためには軍法廷が政府や軍から一定の独立を保つ必要があります。」
「従って大統領が簡単に『判決が気に入らない』といって恩赦してしまうのなら、それは大統領自身が司令官権限の濫用として裁かれるべきでしょう。」