海兵隊緊急対処部隊をイラクへ 大使館警備に100名規模派遣
*ロケット弾攻撃でアメリカ人に死傷者が出たことが新たな火種になりつつあります。トランプ政権はイラクから米軍を引き上げることを明言しているにも関わらず、すんなりと撤収できないようです。表面上のイランとの敵対関係の裏には、米軍を撤退させたくない人たちがいるのでしょう→
木曜日に親イラン勢力がイラク駐在アメリカ大使館施設に対して暴動を起こした事件を受け、アメリカ海兵隊の緊急対処部隊がイラクへ派遣されることが決まった。同部隊は大使館など海外の米国施設の緊急事態に対応することを任務としている。
派遣部隊は中東に展開する特別海兵空地任務部隊(緊急対処)中央司令部に配属され、すでに一部がバグダッドのアメリカ大使館近くにヘリコプターで到着した映像が公開されている。
今回、緊急対処部隊の歩兵部隊として出動するのは、カリフォルニア州駐屯の第7海兵連隊第2大隊。緊急対処部隊は2012年のリビア・ベンガジにおけるアメリカ領事館襲撃事件を受けて整備されたもので、地上の歩兵部隊の他にも航空部隊や後方支援部隊から編成される。
部隊は米国大使館などの警備や現地の政情不安、暴動などに対応するよう訓練されている。
部隊派遣のきっかけは、バグダッドの米大使館に暴徒が侵入したことだ。暴徒たちは先週のアメリカの空爆に対する報復として、入り口のドアを破壊しレセプション・ルームに火を放った。
レポーターによると、暴徒たちは「アメリカに死を!」「くたばれ、アメリカ!」などと叫びながら大使館の壁をよじ登っていたという。
AP通信によると、暴徒に対しては催涙ガス弾が発射され、射撃音が聞こえたという。
アメリカ政府当局は、暴徒を威嚇するため陸軍のアパッチ・攻撃ヘリコプターが大使館上空を飛行し、フレアを投下したと述べている。
マーク・エスパー国防長官は火曜日、国防総省の幹部たちが国務省と緊密に連携をとり、大使館職員の安全確保にあたっていると述べた。
「我々はすでに現地のアメリカ市民、軍人、外交官の安全を確保するため及び自衛権を円滑に行使するために適切な処置をとっている。」
「大使館職員を支援するため部隊を追加派遣することも決定している。」
そしてイラク政府に対して、米国民を保護するために「国際的責任を果たす」ことを求めた。
米国が日曜日にイランの支援を受けている武装勢力の拠点5箇所を空爆したイラクとシリアでは、緊張が高まっている。空爆は武装組織カタイブ・ヒズボラがイラクにある米軍基地に対して行った一連のロケット弾攻撃への報復として実施されたものだ。
ロケット弾攻撃では、アメリカのコントラクター1名が死亡、米軍兵士4名が負傷した。
米国防総省のスポークスマン、ジョナサン・ホフマン氏は、空爆の目的は米軍や有志連合の部隊に対して次の攻撃を行う能力を削ぐ目的で行われたものだと説明するが、イラクの指導者たちは多数の戦闘員を殺害した今回の空爆はイラクの主権を侵害していると非難している。
アメリカ大使館の警備に当たる海兵隊緊急対処部隊は2000名以上の規模になる。
米当局者は警備の厳しい”グリーン・ゾーン”の中にある世界最大の外交施設である大使館について、
「現在のところ状況は流動的だが、職員は全員が無事だ。」と説明する。
現在のところはアメリカ人の負傷者発生の報告もなく、安全のようだ。アメリカ人の同地域からの避難は始まっておらず、イラク国内の他の地域でもデモや事件発生の報告はない。
デモ隊側が配信したビデオには、デモ隊に対して催涙ガス弾や音響閃光弾(スタン・グレネード)が使用された模様が写っているが、米当局によればアメリカ側は催涙ガス弾などいかなる射撃も行っていないとし、ビデオに写っているのはイラクの治安部隊が発射したものだとしている。
当局はまた、アメリカのマチュー・チューラー大使がデモ隊を恐れてバグダッドから脱出したというニュースをイラン側が流していることについて、大使はデモの前から休暇で国外にいたとして否定した。