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米海兵隊が垣間見たロシア軍の戦術 シリアの戦場から

将来の敵となるかもしれないロシア軍との戦いがどのような様相になるかについて、中東で厳しい戦いの経験を積んできた海兵隊員たちにインタビューをすることができた。
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中東の戦場は益々複雑になってきており、シリア政府軍をロシアが支援し、トルコやNATOアメリカと共にシリア政府軍に対抗している。アメリカの海兵隊員は、将来この戦場で新たな敵と戦うことになるかもしれない。

海兵隊は20年に渡る武装勢力との戦いの結果、今よりも良質な装備を持ち、強力な敵が将来現れる可能性について現実的な分析をしている。

危機対応海兵特別空地任務部隊(Special Purpose Marine Air -Ground Task Force-Crisis Response;SP-MAGTF CR)の隊員たちは、シリア、イラクアフガニスタン一帯において任務に就いているが、彼らが現在直面している敵の戦術や装備が、将来の米軍の教育訓練を形づくるかもしれない。

4月から12月まで指揮官としてタスクフォースを率いたシュレフラー大佐は、「我々は常に今の任務から物事を学ぶようにしているが、もし我々と同等の敵と戦うとしたら、過去にも学ぶことができる。」と話す。
大佐によると、身体の偽装と電子的な痕跡を隠蔽することをよく考えなければならないという。

「ドローンや無人機を装備した敵には容易に見つかってしまうからだ。」
「電磁的な探知や物理的な目視・聴音による探知の両方に対処するため、できる限り痕跡を残さないような訓練をしなければならない。」

任務保全上の理由から、大佐はそれがどのような敵であったかは明かさなかったが、シリアにおいては親アサド勢力が米軍部隊上空に飛行させたドローンを米軍が撃墜した事件があり、アメリカの軍用機がロシア軍のジェット戦闘機に遭遇したこともあったことから、大佐はロシア軍を想定しているのであろう。

ロシアは日常的にシリアにおいてアメリカの通信を妨害し、一方で非常に巧妙な宣伝活動も行っていた。米軍ではこれを「マルチドメイン戦争」と呼んでいたという。
つまりロシアは、アメリカや有志連合に対する信頼を失墜させるような情報を流す一方、ロシア軍部隊がシリアの市民に食料を配布している映像を繰り返し放送するなど、シリア人の民心獲得工作を実施した。

このときCENTCOMでは非常に多くの部署がある上に、不正確な情報が多く広がったため、事態が非常に簡単にエスカレートしてしまい、判断を誤る懸念があったという。

シュレフラー大佐はこれについて、
「率直にいえば、我々と同等レベルの強力な敵に対峙したとき、CENTCOMの組織に異変が生じ、脆弱な一面があったということだ。」とし、

「我々に対抗しうる強力な敵がいることは事実であり、CENTOCOMはその最前線にあ
るということだ。CENTCOMの経験は米軍にとって大変貴重なものになる。」