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大都市での戦闘に備える 米海兵隊”プロジェクト・メトロポリス”

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アメリ海兵隊は今年の夏、イギリス軍と合同で巨大市街地戦闘訓練施設での訓練に参加する。多くの一般市民が生活する大都市においてハイテク装備を持つ敵と戦う能力を見極めることが目的だ。

参加部隊はノース・カロライナ州駐屯の第8海兵連隊第3大隊K中隊で、8月にインディアナ州バトラービル近郊のマスカタタック市街地訓練センターにおいてドローン、ロボットその他ハイテク装備の訓練を実施する。

訓練は数週間実施される予定で、隊員たちは地下トンネルを縫うように移動し、都市の中心街を模した施設で射撃を訓練する。また敵が使用すると想定される民生品のドローンやその他器材を装備した仮設敵との対抗演習も行う。

今回の訓練は「プロジェクト・メトロポリス」と呼ばれる4ヵ年計画の一つで、バージニア州クアンティコの海兵隊戦争研究所の主導により、海兵隊の市街地戦闘の新たな戦法を研究するものだ。この計画は約20年にわたる中東での戦闘経験から「敵は自らの戦術や弱点を研究し、戦法の改善を重ねて我を攻撃してくる」という危機感に基づいて生まれている。

イラン、中国、ロシアとの緊張が高まれば、海兵隊イラクアフガニスタンで戦ったようなテロリストよりも遥かに訓練された敵と戦うことになる。

つい最近もイランは高高度で飛行し情報を収集することができる米海軍の無人機を撃墜した。トランプ大統領は報復攻撃を実施する寸前で中止している。

2週間ほど前には、フィリピン沖においてロシア海軍駆逐艦が米海軍艦船に異常接近した。
これらは海兵隊や他の米軍部隊が、米軍と同等のハイテク装備を持つ軍隊と人口密集地で戦う事態がいつ起こっても不思議ではないことを示している。

2016年に海兵隊が発表した「海兵隊の作戦方針」という文書では、海兵隊が市街地戦闘を遂行するためには、人員、訓練、装備ともに不十分である。海兵隊戦争研究所で人口が密集した都市における作戦を研究するエドワード・レスリー少佐は、次のように語った。

「敵は今までとは違ってきている。ドローンを操ることは簡単にできるし、センサー技術も向上している。夜間暗視能力も我々と同等だ。敵は我々の技術を凌駕するか、我々の技術を使用不能にすることさえ可能なのだ。」

この新しい挑戦に挑むのは海兵隊だけではない。陸軍もまた地下での戦闘を訓練するために5億ドルの予算を計上して、カリフォルニア州の大規模な訓練施設に部隊を派遣し、より複雑な戦闘シナリオに基づいた演習を開始している。

陸軍は多くの歩兵部隊や近接戦闘部隊の若い軍曹たちが分隊の指揮やランド・ナビゲーションの能力に欠けていることを認識している。

レスリー少佐は海兵隊はこのような技術を練磨し続けなければならない、という。なぜなら海兵隊がかつて有していた優秀な能力は横ばい状態にあるからだという。少佐によると、海兵隊員はただ単にルーム・クリアリングが得意であるだけではダメで、市街地戦闘全般に強くなければならないという。例えば必要以上に破壊することなく建物に突入する方法を見つけ出す、といったことだ。なぜなら建物のすぐ隣は学校や病院かもしれないからだ。これこそがこの「プロジェクト・メトロポリス」の目的である。