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フランス特殊部隊人質救出作戦続報 ブルキナ・ファソ 「非常に複雑な作戦だった」

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フランス軍が金曜日に発表したところによると、アフリカのブルキナ・ファソにおいて人質救出作戦を実施、武装集団に拘束されていたフランス人2人を含む4人を無事に救出した。作戦は成功したが、特殊部隊員2名が戦死した。

フランス軍は4日間に渡ってブルキナ・ファソ東部で武装集団を追跡、救出作戦は夜間に実施された。

フランス陸軍のフランソワ・ルコントル参謀長が会見したところによると、当初は武装集団は人質を連れて隣国マリに向かって北西に移動したものとされていたが、ブルキナ・ファソ国内でメンバー6名が潜伏している情報を得て、5月7日に特殊部隊の作戦開始が決定されたという。

この武装集団はアフリカの複数の国を移動して活動していたため、フランス軍武装集団を捉え、介入する機会を注意深く窺っていた。これにはフランス軍のみならず、アメリカ軍のドローン(無人機)による情報収集が威力を発揮したという。

作戦には戦闘衛生の専門家チームがパリから派遣され、救出作戦の開始に備えた。

同参謀長は、
「非常に複雑かつ困難な作戦だった。」
と述べた。

フランス軍の首脳部は、武装集団が木曜日の夜にブルキナ・ファソ北部に留まっている間に救出しなければ、人質たちがマリに連行されイスラム過激派組織に引き渡されてしまうと判断した。

パーリ国防大臣は、
ブルキナ・ファソ国内で人質を救出するには、あの時しかなかった。人質がマリに連れて行かれてしまったら、救出作戦の実施は非常に困難になるからだ。」
「作戦は直ちに実施しなければならなかった。判断は正しかったと信じている。」
と語った。

フランスのマクロン大統領は、当時ヨーロッパ首脳との会合のためルーマニアに滞在していたが、救出作戦実施の報告を受けるとすぐに作戦を許可した。ブルキナ・ファソとフランスは最近、軍事協力について合意したばかりであった。

ゴーサインが出ると、約20名からなるフランス軍特殊部隊の人質救出チームは、武装集団のキャンプから離れた地点にヘリコプターから夜間降下を開始した。
チームは闇に紛れて隠密に敵のキャンプに接近、敵の警戒員をやり過ごし、人質が拘束されていると思われる4つの掩蔽壕まで数メートルの位置まで前進した。

「特殊部隊員達は、一発も撃つことなく掩蔽壕の中へ入っていった。」
と参謀長は話す。
高度な訓練を積んだ特殊部隊員でさえ、人質を無傷で救出することは非常に困難であるという。

この時、敵の射撃を受けてフランス軍特殊部隊員2名が戦死した。
武装集団の6名のうち4名を射殺、2名が逃走した。

救出に際して、予想外の事実が判明した。人質はフランス人男性2人だけではなかったのだ。そこにはアメリカ人と韓国人のいずれも女性2人も拘束されていたのだった。

パーリ国防相は、
「その2人がいることは全く想定していなかった。2人は28日間も拘束されていたことになる。」
と述べ、フランスは2人についてわずかながらの情報を得ていたことを明らかにし、
「米国及び韓国に連絡をとったところ、両国とも2人がブルキナ・ファソにいることは知らなかったようだ。」
と述べた。
救出された人質4人は、現在安全な場所で保護されているという。

防相ベナンブルキナ・ファソに対してこの「複雑な作戦」に対する支援を感謝するとともに、米国の情報協力にも感謝の意を示した。

人質となったフランス人男性2人は、2週間の予定でブルキナ・ファソを訪れていた。旅行の最後の行程としてパンジャーリ国立公園へガイドと共に向かう途中で武装集団に拉致された。

パンジャーリ国立公園は象やライオンなどの野生動物が多くいることで有名であるが、隣国ベナンとの国境地帯に位置しており、イスラム系の武装集団が越境攻撃を繰り返している場所でもある。

2人はサファリ地帯を観光して、その晩にロッジに戻る予定であったが、帰ってこなかった。

その3日後、国境を超えた場所で、黒焦げになった彼らのジープとともに虐殺されたガイドの遺体が発見された。

米国政府は金曜日、アメリカ人を含む人質の救出についてフランスに謝意を伝えると共に、戦死した特殊部隊員2名の遺族に対して哀悼の意を示した。