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米議会、国防総省に報告書の提出を強く要求 ニジェールでのグリンベレー戦死で

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パトリック・シャナハン米国防長官代理は火曜日、議会において2017年10月にアフリカのニジェールでグリンベレー隊員が伏撃に遭い戦死した事件について質問を受けた。

同事件についての最終的な報告書は、提出が繰り返し延期されており、このまま国防総省が事実を明らかにしない場合、議会は報告書を強制的に提出させる措置をとる構えだ。

事件から1年以上が経過した今、責任の所在を明らかにすることが議論の中心となっている。軍はグリンベレー隊員2名を含む4名の米軍人が死亡した責任を現場の将校たちに押し付けようとしているからだ。

マティス前国防長官に提出された事件についての報告書では、事件の原因が現場の将校たちの失態である可能性が高い、とされていた。
一方シャナハン国防長官代理は議会の国防委員会において、同長官代理にも同じ報告がなされたが、それは十分に整理されたものではなかったとし、

「報告書は私も読んだが、現場の責任とするだけの説得力はなかった。私が再度調査させたところでは、現場の指揮官からトップの司令官までの全員にいくらかの責任があると考えている。」

シャナハン長官代理は次の報告書を提出する時期については、「まもなく」と答えたのみで、明示を避けた。

海兵隊員で共和党議員のルーベン・ガリエーゴ議員は、ニジェール伏撃事件についての真相究明にあたっている議員だ。

「われわれは現場の下級将校だけに責任を押し付け、高級将校は事件について無罪放免にしようとしているように見えてならない。」と議員は述べた。

シャナハン長官代理は議員の見方を否定、高級将校の責任が表立って追及されていないのは、「調査が十分でないため」としている。

事件後に作成されたもう一つの報告書もまた、2018年の国防権限法を根拠に議会には提出されてない。ガリエーゴ議員の「報告書はいつ提出されるのか?」という質問に対し、シャナハン長官代理は確認した上で回答すると答えた。

議員は、「委員会はこの事件の真実を徹底的に究明する方針だ。ニジェールで何が起こったのか、そこから得られた教訓は何か、明らかにしなければならない。委員会はできるだけ強制力を行使しないようにしてきたが、報告書が提出されない状況が続くなら、それも考えざるを得ない。」

と述べると共に、亡くなった兵士の家族や米国民、そして軍人としてのキャリアの危機にある下級将校たちには、ニジェールで何が起こったのか、事件を再び繰り返さないためにはどうしたら良いのか、ということを知る権利がある、と付け加えた。

米アフリカ軍(AFRICOM)司令官のトーマス・ワルトハウザー将軍は、ニジェール伏撃事件の反省に基づき、改善策がすでに取られていると説明する。

「我が軍では事件の反省から、戦術的な合理性を踏まえた作戦と手続きを必要最小限の人員で行うようにしている。」
さらに将軍は、戦死者や負傷者の後送手順、各種の調整、航空支援、空からの情報収集・監視・偵察などを改善したとし、「そしてこれらの情報を大隊レベルに与えるようにしている。」という。

国防総省もまた、「127エコー
プログラム」を拡大するようAFRICOMに求めている。これはアフリカ諸国の現地軍部隊を米軍の「代理部隊」として使い、襲撃などの直接行動や偵察作戦を実施させようという秘密の計画だ。

ただ、この計画は従来の作戦のようにアフリカの現地軍をアメリカの特殊部隊が支援する、というものとは異なる。「127エコー・プログラム」は実際の戦闘行動は現地の部隊に任せ、米軍は作戦の統制に専念する、というものだからだ。

統合参謀本部で同プログラムを担当するヘッカー少将は「127エコー・プログラム」について、

「127エコーは、米軍が戦闘に加わらないことが特徴だ。従って大部隊が展開する必要もない。現地の軍が主役となって問題解決に当たる環境を整えるのがこの計画なのだ。」と説明している。