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NZモスク襲撃犯声明文 動機は「イスラム・テロへの復讐」

49人が射殺された今回の大量殺人を成功させるには、結果的にニュージーランドという国はこれ以上にない条件が揃っていたと言わざるを得ない。なぜならニュージーランドは治安が良く、米国で頻発しているような銃の乱射事件とは無縁であり、警察官でさえ普段は銃を携帯していないからだ。

犯人の男は、ニュージーランドで事件を起こした理由は、ニュージーランドが大陸から離れた島国であるからだとしている。つまり大陸から遠く離れ、移民受け入れに積極的なニュージーランドでさえ、移民にとって安全な場所ではない、ということを警告する狙いがあったということだ。

男は自身の生い立ちについて、オーストラリアの労働者階級出身で、平凡な少年時代を送り、貧しい学生であったとしている。
男がオーストラリアのグラフトンという町でパーソナル・トレーナーとして働いていたときの同僚であった女性は、男がそのような過激な主張をしていることに驚きを隠せないという。

男は白人至上主義思想を持つ一方で、自身を環境保護論者であり国粋主義者ファシスト)であるとしており、中国のやり方に共感を抱いている。世界の富が1%の富裕層に偏在していることを糾弾もしている。さらに男はアメリカの保守派コメンテーターであるキャンディス・オーウェンズの名前を挙げ、自身に最も影響を与えた人物としている。(オーウェンズ氏は黒人女性)。
オーウェンズ氏はツイッターで、男とは無関係である旨をつぶやいている。

男が文書を通じて主張していることは、没落するヨーロッパ人とムスリムの争いであり、男はこれを十字軍に例えている。

男の文書によると、男が今回の襲撃を実行するきっかけとなったのは、2017年に男が西ヨーロッパを旅行したときの出来事であったという。スウェーデンストックホルムで、ウズベク人の男がトラックを暴走させて5人を殺害した事件であった。男はこの時、11歳のスウェーデン人の女の子が犠牲となったことに深い憤りを感じたという。

男は続いてフランスを訪れたときに、国の至るところに移民が入り込んでいるのを目の当たりにして怒りを感じ、実力で移民を排斥する決意を固めた。

男は3ヶ月前からクライストチャーチをターゲットとして計画を立て始めた。男は自分はいかなる組織にも属していないとしているが、複数の組織に寄付をしているとこも明かした。そのうちの一つである「テンプル騎士団の復活」と呼ばれる組織とは連絡を取り合っており、2011年にノルウェー連続テロ事件を起こしたアンドレイ・ブレイビクからも祝福を受けたとしている。

犯人の男はまた、事件の成果として望ましい「ウィッシュ・リスト」も挙げていた。
それは;
・移民の受け入れが制限され、結果として移民の数が減る
NATO諸国とトルコとの間に楔を打ち込み、離反させる。
・西欧諸国を今まで以上に分裂させ、不安定にする。
・米国内での銃規制論争を過熱させ、かつての人種差別問題を再燃させる。

男は自分はネオナチではないと言っているが、乱射事件の映像では男のライフルに「14」の数字の書き込みがみられる。これは「14Words」を意味し、ヒトラーの著書「わが闘争」から作られた白人至上主義者のスローガンである。また、ナチス武装親衛隊SSのシンボルを意味し、現在は多くの極右団体の代名詞となっている「ブラック・サン」も使われている。

男の文書には、今回の事件の犠牲者は白人の地位を脅かす侵略者であるとされている。男はそれについて良心の呵責は感じないと書いているが、実際に男が配信した映像を見ても、これから大量殺人を犯そうとする罪の意識は感じられない。男は「パーティーの始まりだ。」とつぶやくと、銃をとってモスクに押し入り、次々と罪のない人達の命を奪っていった。

襲撃の後、車に戻った車内にはイギリスのロックバンド「The Crazy World Authur Brown」が歌う「Fire」という曲の「俺は地獄の火の神だ」というフレーズが流れる中、男は車を走らせていった。