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SOCOMに新たな任務 対WMD任務へ

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アメリカ軍の特殊作戦コマンド(SOCOM)は、テロリストが「ダーティ・ボム」などの大量破壊兵器WMD)を手に入れるのを防止するための作戦を開始しているようだ。これに対して、特殊作戦の専門家からは「特殊部隊単独では不可能な任務だ」との指摘が出ている。
アメリカ軍の合衆国戦略軍は最近、大量破壊兵器拡散防止に関する指揮権をSOCOMへ移管した。これまでに特殊部隊の指導者たちがこの困難な作戦に取り組んできた結果、そうしたほうが良いと判断したためだ。



国防総省補佐官で特殊作戦や低烈度紛争(LIC)を担当したマイケル・ランプキンは、対WMD任務はSOCOMには過大であり荷が重いのではないか、と言う。
同氏は、特殊部隊員とは「問題解決請負人」であるとして、「彼らは問題を解決するのが仕事です。隙間があれば埋め、破れ目や穴があれば塞ぐのが彼らの仕事なのです。」と語る。
同氏は水曜日に開催された国防工業協会の特殊作戦及び低烈度紛争に関する第29回年次シンポジウムで次のようにスピーチした。「しかし隙間や破れを全部直せるわけではない。関係機関との連携が絶対に必要なのです。私が常に危惧しているのは、過剰な量の任務を負うことになることです」
ランプキン氏は大量破壊兵器拡散防止に関するパネル・ディスカッションに参加した。そこでは米国と同盟国にとっての最大の脅威が化学兵器生物兵器核兵器であるとの認識で全員一致した。
国土安全保障省大量破壊兵器対策室において戦略・計画・政策担当である米陸軍ロニー・カールソン大佐は、WMDをISISの過激派に渡さないことが最優先事項の一つだという。
「これは現実に差し迫った脅威だ。大事なことは、この問題がテロリズムとは不可分であり、我々の想像以上に中東以外の全世界に拡散しつつあるということだ。」
これに関してブッシュ政権において政策アドバイザーを務め、元特殊部隊員でもあるマイケル・ウォルツ氏は、大量破壊兵器北朝鮮でも生産されており、これがシリアに渡って使用されたことを挙げている。
同氏によると「これまでに化学兵器または化学兵器に転用可能な民生品を積んだ船が、北朝鮮からシリアへ40~50便入っている」という。「シリアで民生品を生産していることになっている化学工場は、経営が成り立っていない状況だ。従って輸入された化学製品の用途を疑うのは当然のことだ。」
ウォルツ氏はトランプ政権の対北朝鮮政策には賛成としながらも、国務省の重要ポストに相応しい人材が就いていないために、大量破壊兵器拡散防止政策は困難を極めると指摘する。
「私は国務省の人材不足や体たらくぶりは、深刻な事態だと思う。そんな国務省に大量破棄兵器拡散防止政策など任せられるわけがない。とすれば国防総省SOCOMに任せるしかないではないか。」
前出のカールソン大佐は、SOCOMが関係機関との協同連携に長けていても、全ての作戦を担当する能力があるということにはならない、と指摘する。
「現場の特殊作戦部隊を司令部が指揮命令して統制する、それ以上のことはできないはずだ。」
SOCOMには2019年度予算で大幅な増額が認められている。その多くは海外での緊急事態対処作戦のために当てられているが、新しい対WMD任務には到底足りない額だという。
ランプキン氏は、「この問題に対処するにはSOCOMにも関係機関にも大幅な予算の増額が必要だ。こういった任務では秘密作戦など非合法な活動なしには成り立たないのが現実だ。それには十分な予算やリソースが絶対に必要だ。」と語る。
国防長官の主席代表補佐官で特殊作戦及び低烈度紛争を担当するマーク・ミッチェル氏は同シンポジウムでスピーチし、近年のSOCOMは任務の連続で休む間もない、と言っている。
SOCOMには新しく対WMD任務だけでなく、過激派の暴発に備えて関係機関を調整する権限も付与することになる。これらは国の安全のために失敗の許されない任務だ。負担を軽減するため、他の任務を外すことも検討している。」
ミッチェル氏は陸軍が通常型の歩兵部隊を改編し、新たに治安部隊支援旅団(SFAB)を編制する決定をしたことを評価する。高度に訓練された隊員で編制した、外国軍隊の教育訓練を専門に担当する部隊だ。SFABは2022年までに6個旅団が編制される予定で、実現すれば従来この種の任務を担ってきた特殊部隊の負担を減らすことが得きる。
一方でウォルツ氏は州兵や予備役からも人材を登用すべきだという。普段は民間人として生活している彼らの中には、大量破壊兵器拡散防止に必要な特技をもった人材がいるからだ。
SOCOMだけではこの問題に対処できない。対WMD及びWMD拡散防止を成し遂げるには、国のあらゆる関係機関が協同連携することが唯一の方法なのだ。」