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シーア派民兵組織がアメリカ製M1戦車を保有

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イスラム国(ISIS)との戦いの混乱の中で、イランの支援を受けた民兵組織がアメリカ製のM1A1戦車を入手していることがわかった。同戦車はアメリカ政府がイラク軍に供与したもの。

イスラム国の軍事作戦に関する監査報告によると、イラク動員軍(PMF)という民兵組織が9両ほどのM1A1エイブラムズ戦車を保有しているという。PMFイラク治安部隊の一部として活動し、2015年のティクリートや昨年のモスルでの戦闘に参加している。

PMFシーア派民兵組織であり、昨年秋にはこれらの戦車を使用してイラク北部のクルド人に対して攻撃を仕掛けた。この事件にアメリカ議会は激怒し、イラク政府に対し軍事援助を削減すると警告する事態に発展した。

これを受けてイラク政府はPMF保有するM1戦車を全て掌握したとしているが、同報告書によれば、PMFは現在もM1戦車を保有しているという。

独立宣言を発表したのをきっかけにイラク軍はクルド人勢力に攻撃を仕掛け、クルド人が支配していたキルクークを奪還したが、この際、シーア派民兵がM1戦車を使用していたとクルド人側は主張している。

米議会上院の軍事委員会は、「クルド人は米国にとって長年の頼もしい友好的勢力であり、イスラム国との戦いのために供与した武器をクルド人に対して使用することは断じて許せない」と非難している。

アメリカ政府は2005年以来、イラクに対して220億ドル以上の武器及び装備の有償供与を行ってきている。国務省も2015年からペシュメルガなどのクルド人勢力を含むイラク軍を強化してイスラム国と戦うために、40億ドルの資金援助を実施している。

報告書は「イスラム国をイラクから締め出すための作戦が始まって以来、国務省国防総省に対しイラクへの武器供与についての詳細な説明を求める声が高まって来ている」としている。

イラクはすでに150両ほどのM1戦車を受領している。2014年にISISとの戦いでいくらかの損耗が出ると、米議会にはさらに175両の戦車を供与する計画が出されていた。

120ミリ滑腔砲を装備したM1A1エイブラムズ戦車は、1980年代にM60戦車に代わって採用されたアメリカ軍の主力戦車で、劣化ウランを使った装甲を有し、無敵戦車と言われた。90年代には湾岸戦争においてロシア製T-72戦車を圧倒し、一躍注目された戦車である。

それから数十年たち、車体後部に弱点があることが判明してM1戦車が無敵と言われることはなくなった。車体後部は道路脇に仕掛けられた爆弾や対戦車ロケット弾に対して脆弱であったのだ。ロシア製コルネット対戦車ミサイルでも撃破できることが証明されている。しかしながらまだまだ敵にとっては脅威となる存在である。