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ガダルカナルの再現 米海兵隊がヘルマンドに再展開

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昨年4月に米海兵隊300名の軍事顧問団がアフガニスタンのヘルマンド州に到着すると、人々はタリバンに攻撃される危険を犯してでも戻り、守備を固め始めた。
しかし、この数カ月間に状況は変わった。米軍事顧問団の司令官によると、アメリカ軍の支援を得て、現地軍はタリバンに対して攻勢に出ているとのことだ。
タスクフォース・サウスウェストの司令官ターナー准将によると、今回の海兵隊の展開は2014年に「不朽の自由」作戦が終了し、海兵隊がキャンプ・レザーネックから撤収して以来の画期的なもの、とのことだ。
この数カ月、海兵隊アフガニスタン国防軍(ANDSF)がタリバンの支配地域を奪還し、守りを固めるのをずっと支援してきた。これによりアフガン国防軍は損害を劇的に減らすことができ、彼らは自信をもつことができるようになったという。しかしながら、前回の作戦と大きく異なるのは、今回の海兵隊の派遣には明確な目標がなく、ヘルマンドの戦いにただ飲み込まれているに過ぎないのかもしれない、と准将は語る。



人口密集地のゲレシュクと州都ラシュカルガはかつて海兵隊が派遣された頃にはタリバンの猛攻を受けていたが、海兵隊はすぐに支援を開始し、アフガン国防軍タリバンを押し返した。そこで彼らはタリバンが支配するナワ地方に注目した。
「我々はタリバンがナワ地方を完全には支配できていないことを知っていた。住民がタリバンをよく思っていなかったからだ。タリバンは6月にナワを占領したばかりだったのだ。これは我々にとってガダルカナルのようだと考えた。アフガン軍がタリバンの拠点を奪取することができれば、戦いの流れが変わると思ったのだ。」
ガダルカナルの戦いは第二次世界大戦中の1942年から43年にかけてイギリス領のソロモン諸島で行われたもので、戦争のターニングポイントになったと考えられている。連合軍が太平洋戦線において攻勢に出た最初の戦いであり、制空権を取り戻すことなく戦った日本軍はその後守勢に転じることとなった。
ターナー准将は、タリバンにとってナワ地方はガダルカナル島であり、ここに攻撃を加えればタリバンは消耗し、戦意を喪失するだろうと考えた。
「そこで、われわれは作戦地域を広げることにした。タリバンはこれに対応せざるを得なくなり、ラシュカルガやゲレシュクが攻撃を受けることは少なくなった。戦力を分散させたわけだ。」
これによって、州都周辺の道路は以前より安全になり、移動が容易になった。ラシュカルガの民間空港も再開し、地域に安心感が芽生えるようになった。
この支援作戦では、海兵隊は戦場に出ることなく、アフガンの軍上層部への助言、航空支援の調整、ドローンを使った情報収集や監視任務などの支援を行った。この結果、実際に敵と対峙して戦ったアフガニスタン部隊の損害も大幅に減少した。2016年と比較して40%も減ったという。
最近まで、タリバンとの戦いにおけるアフガニスタン軍の損耗率は衝撃的に高かった。2016年の報告では、最初の8ヶ月間で損害15000名、うち戦死が5500名だった。
ターナー准将は損耗が激減した理由について、「アフガン軍がタリバンをうまく追い込み、タリバンが準備していない場所で戦っているからだ」と説明する。もちろん米軍の航空支援が有効であるのは言うまでもない。
「アフガン軍は主導権をうまく握っている。もちろん勇敢さもあるからタリバンに打ち勝てている。だが、やはり『うまく追い込んだ』という点が非常に大きいと思う」
現在ヘルマンドには新しい交代部隊が派遣され、国境警備の教育訓練支援任務についている。海兵隊は小部隊の支援に当たり、陸軍からも顧問が派遣されている。
当面の戦略としては、海兵隊はアフガン軍がヘルマンドタリバンを押し出すための支援をすることになるだろう。ヘルマンド州の半分はタリバン支配下にあり、残りはアフガン政府の統治下もしくはタリバンとの競合地域である。
もっとも理想的なことは、今回の支援によってヘルマンド州を奪還し、米軍が必要なくなるくらいにアフガン軍が育つことだろう。それは2014年にこの地を撤収した海兵隊が目指したことでもある。
「この先のことはまだ検討する段階ではない。今は戦局を転換させ、アフガン人が自身で問題を解決していくように導くことが重要だ。幸いなことにわれわれのパートナーは協力的で、かつ非常に勇敢であるということだ。今言えることは、最終的な解決を話し合う段階では全くないということだ。」